宇多田ヒカル 新作アルバム『Fantome』 全曲解説 1曲目 道
宇多田ヒカルの待望の新作Fantomeが発売されました。
今日から独自視点ですが全曲解説していきます。
音楽的には全編通して1つのこだわりを感じます。
ミニマリズムです。
音をたくさん重ねて作りあげるのが当たり前になっているのが現代の音楽だと思うのですがそんな中で極端に音を最小限にして“歌”を前面に出そうという意図があるのではと感じます。
またそうすることで歌が実際に引きたちさらっと聞くというよりじっくり聞かせようとする迫力も感じます。
そんな新作の第1曲目はサントリーの天然水のCMソングにもなりましたが、軽快なテンポで1曲目にふさわしい曲調ではじまります。
ただし道という重みのあるテーマで歌詞もけっして軽い歌詞ではありません。
これもアルバム通してですがとても大きなテーマを独自の切り口で歌いあげるという印象がどの曲にもあります。
当たり前ですがデビュー当時とは違う大人の女性としての人生を歌っています。
この歌の“あなた”は、やはり亡くなったお母さんのことでしょうか?
歌うこと=道 で歌手というおかあさんと同じ道を歩いているということや、寂しい道だけれども一人じゃない(あなたがそばにいる)ということを歌っていると思います。
この歌の一番言いたい部分は英語の『It’s a lonely road But I’m not alone』ですがそれ以外まったく英単語が歌詞に入りません。
これだけ日本語の歌詞をソウルフルに歌い上げるということにシンガーとしての才能を感じます。
また軽快にはねる打ちこみのリズムにのったソウルフルなメロディーを全て日本語にのせる作曲家としての才能も恐れ入るばかりです。
アルバム全編聞くのがとても楽しみになる1曲目です。
≪以下引用≫ 著作権法の第32条引用を参考に歌詞カードより引用しています。
道
黒い波の向こうに朝の気配がする
消えない星が私の胸に輝き出す
悲しい歌もいつか懐かしい歌になる
見えない傷が私の魂彩る
転んでも起き上がる
迷ったら立ち止まる
そして問う あなたなら
こんな時どうする
私の心の中にあなたがいる
いつ如何なる時も
一人で歩いたつもりの道でも
始まりはあなただった
It’s a lonely road
But I’m not alone
そんな気分
調子に乗ってた時期もあると思います
人は皆生きてるんじゃなく生かされてる
目に見えるものだけを
信じてはいけないよ
人生の岐路に立つ標識は
在りゃせぬ
どんなことをして誰といても
この身はあなたと共にある
一人で歩まねばならぬ道でも
あなたの声が聞こえる
It’s a lonely road
You are every song
これは事実
私の心の中にあなたがいる
いつ如何なる時も
どこへ続くかまだ分からぬ道でも
きっとそこにあなたがいる
It’s a lonely road
But I’m not alone
そんな気分