ロックなブログ

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RADWIMPS 新作「人間開花」全曲解説 4曲目 『トアルハルノヒ』  NHK SONGS 演奏曲

『ロックバンドなんてもんを やっていてよかった』

 

では4曲目『トアルハルノヒ』です。事前の雑誌のレビューなどでは、この曲がとにかくいいと言われている評論家の方が多くおられます。

同感です!

曲は新機軸というより、RADWIMPSらしいメロディとアレンジの妙でグループ感を感じるロックに仕上がっています。

今のバンドメンバーの心境が一番表れている曲というところが、特にずっとRADWIMPSとつきあってきた評論家の方々に響いているということもアルバムの中で特に好きと言わせているのかもしれません。

野田さんがインタビューでこんなことを語っています。

『昔からRADWIMPSを好きでいてくれている当時中学生や高校生だった彼・彼女たちは、今社会人になっていたりする。RADWIMPSの影響でこんな仕事につきました、とかこんな人生送ってます。なんて手紙もらうと、本当やっていてよかったって思うんです。』

これが、曲の中に出てくる♪『ロックバンドなんてもんを やっていてよかった
間違ってなんかいない そんなふうに今はただ思えるよ』♪

のフレーズを生んだわけです。

野田さんは言葉のトリックをうまく使った歌詞や表と裏の意味を同時に含む表現方法など歌詞でも常に新しく、過激で、いろいろな詩を生んできました。(本作も凄い歌詞たくさんあります。)

だからこそ、一見普通すぎるぐらい普通な♪『ロックバンドなんてもんを~』♪のフレーズがかえって話題になったりすると思います。

10年目にしてロックバンド宣言。捻ったり難しいことをトライしたり当たり前を続けなかったりと一筋縄ではいかないバンドだったからこと響くドストレートなフレーズとロック。今のRADWIMPSしか出せない音とフレーズ、そんな曲満載のアルバムの中でも象徴的な1曲です。

 

『トアルハルノヒ』

「はじめまして」そう言うと
ひと際大きなその瞳が
揺れながらまっすぐに僕をみた

あれはまだ14のハル
それから今日までの日々
「あなたの声をずっと聴いていた」

もうなんて言えばいい? 迷子のクシャっとした顔
言わなくたっていい 溢れるほど伝わった ありがとう

今日はなんか楽しいな
遥か昔から「声」だけの
幼なじみで 積もる話なんかして

どこか自分の時間だけ
同じ場所でただただ円を
描いては止まってる気がしてた

それが今じゃ21のハル
昔の手紙の返事を
その胸に抱えてきてくれた

ロックバンドなんてもんを やっていてよかった
間違ってなんかいない
そんなふうに今はただ思えるよ

宛名もなしに書きなぐった夢を
恥じらいもなく晒してきた本音を
君は受け取った 捨てずにあたためた
隣にいる友よりも 僕らは知り合えた
名前さえ知らずに

僕ら君曰く 毎日、毎晩
雨も晴れも嵐も雪も
飽きもせず 話をしてきたらしい

時に忌み嫌い遠ざかり
音信不通の時を経て
でも最後には 戻ってきたんだと

周りの誰が聴かずとも
流行の歌流れようとも
自分にはこの歌があったよと

ロックバンドなんてもんを やってきてよかった
まともに話さえ できなかったこの僕が
そんなにも君と 想いを交わしあっていた
ロックバンドなんてもんを
やってきて本当によかった

開き直りの心の有様を 長ったらしい無様な告白を
書きなぐり続けた 世界にバラ蒔いた
たやすく風に舞い すぐに掻き消された
でも君は受け取った 捨てずにいてくれた
風よりも小さな 僕の声を拾い上げてくれた

遥かな彼方へと 歌歌よ飛んでいけ

宛名もなしに書きなぐった夢を
恥じらいもなく晒してきた本音を
当たり散らした無様な醜態を
こぼれ落ちたまま走らせた希望を

書きなぐり続けて 10余年の日々が
そしてその少女は 目の前に現れた
その手、瞳、胸に 手紙の返事を 宿して現れたんだ