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ロックなブログ

洋楽・邦楽の新作や名盤を自分なりの視点で解説します。

RADWIMPS 新作「人間開花」全曲解説(歌詞 有) 10曲目 『記号として』

「DADA」進化版の音と「π」に通じる詩の世界

 

10曲目『記号として』です。曲調はハードファンク、ヒップホップな曲です。音的には“DADA”の進化版といったところでしょうか?ファンクな曲だけにベースの武田さんの演奏がひときわ光ります。武田さんはマーカスミラーがお好きだそうで、そんな武田さんのチョッパーが炸裂する曲です。

そして歌詞ですが3曲目のAADAA KODAAAに通じる毒づく方のRADWIMPSです。

記号は言うまでもなく心の通った人間が、大勢の中で埋もれてしまうと物のように、記号として扱われてしまう。それそのものの全否定ということではなく、そんな世の中での迷いをそのまま描き出した内容になっています。

「曖昧なようで 明快なような」 だったり 「喜劇的なようで 悲劇的な」だったりです。

ただしそんな人間の記号化を受け入れているのかというともちろんそうではなくて、

「騙されぬほどに優しく 嫌みにならぬほどに賢く 生きなさい」に対して強い強い抵抗感を感じるということを“あえて言わず”表現していると感じます。

ただただ、憎むべき状態を頭から全否定でなくむしろそうなってしまう(今回なら人間の記号化)ことに対して、背景を充分にわかったうえでの嫌悪感を見事に表現しています。

音は「DADA」進化版と言いましたが、詩の面では「π」の主人公に近いなぁと感じました。

πはいろいろ考えて(例えば、希望を持つから絶望があって希望を持つことの対価にしてはあまりに重すぎる等)結局平均化してしまう(ほどほどの真ん中をとってしまう)という心情を歌った歌でした。

πは自分の意志で平均化してしまうと歌ったのですが、今度は自分の意志とは関係なく記号化されてしまうということを歌っていて立場は違いますが歌詞の題材や手法が同じものを感じました。

ファンの方は2曲ともよく御存じと思いますが知らない方がおられたら、この「記号として」を気に入られたら音で「DADA」、詩の世界で「π」と比べてみるのも面白いと思います。いずれも「絶対絶命」というアルバムの収録曲です。

 

『記号として』

今までの日々 ふと思いだしたんだ
土砂降りの雨の中 飛ぶ飛行機の中で

針と糸ひとつ手渡され 「はじめ」の合図で
針の穴に糸を通す これを繰り返すような Days Ace

これからの日々 ふと描きだしたんだ
上下左右 乱高下 もう吐きそうなんだ

泣いてすがったり 落ちてひろったり 皆様 様々
震える手 霞みゆく視界 僕の指なぜ八本?

ひとっこひっとり殺さずに 誰とも肩ぶつからずに
いじめずいじめられずに 車にはねられぬように

病、火事、事故、地震 日々紙一重でかわしながら
騙されぬほどに優しく 嫌みにならぬほどに賢く

生きなさいとさ はい、そうかい

曖昧なようで 明快なような 繊細なストーリーを
踏み外さぬように 逃さぬように 細心の注意を

あんたに言ってもなんだかさっぱりだとは思いますが
あんたもバッタリ或る日 そっくり 引きずり込まれるさぁ

悲しみの匂いが鼻について 洗い流そうと席を立った
トイレに向かうが そこは悲嘆者の列 嗚咽の列

諦め目を瞑る者 膝をつき許し請う者
腕に針あてて 愛しき人の名を彫り入れる者

彼らの様 横目に 祝杯と声あげる者
着陸までに糸通した 者だけが明日を生きられると

わざとらしくも しおらしく
生きなさいとさ はい、そうかい

天上のようで 地獄絵図のような ぞんざいなストーリーを
一抜けるもよし 駆け抜けるもよし そう究極のチョイスを

僕のそっくりが一人こっそり 非常口の前へ
おもむろにゆっくり ハンドルを切り 制止を振り切り シュートが開き
そんなのほっとけ 落ちたきゃ勝手に させとけそれよりも 針に糸を

曖昧なようで 明快なような 繊細なストーリーを
踏み外さぬように 逃さぬように 細心の注意を

喜劇的なようで 悲劇的な運命 お好きに調理を
つま先立つもよし いきり立つもよし 行け 最高到達点を