ロックなブログ

洋楽・邦楽の新作や名盤を自分なりの視点で解説します。

RADWIMPS 新作「人間開花」全曲解説(歌詞 有) 8曲目 『週刊少年ジャンプ』

名作ピアノバラード「週刊少年ジャンプ」誕生!!

 

8曲目はバラードです。タイトルから少し遊びが入ったファンクやヒップホップかもと想像していたのですがピアノの弾き語りバラードです。なんといっても、このタイトルがとにかく目を引きます。過去このタイトルをつけて曲を作った人はいるのでしょうか?思いつきそうで誰もやらなかったことでもあります。

曲は名作誕生と言っても過言ではありません。ラブソングです。

ラブソングではこの『君のヒーローになりたい』という手法はよく出てくるパターンですが何度も言いますがそれが“君のヒーロー”のところの表現を“週間少年ジャンプ的”と言い換えたところに詩人としての“凄さ”を感じます。

美しいメロディ、印象に残る詩、それ以上装飾がいらない(もしくは装飾して歌のよさを消してはならない)曲です。

余談ですがLIVEでは『π』(アルバム 絶対絶命に収録)で野田さんがピアノに座って歌いますが、ピアノコーナーがもう少し増えればいいと勝手に思っていたのですが今後はそのピアノコーナーが増えそうな気がします。

この『週刊少年ジャンプ』や最後の『告白』が『π』に追加してピアノコーナーとして歌われるのではないでしょうか?

アルバムの中では前回述べましたが1~5が一気に勢いよく駆け抜ける感じで進み6曲目と7曲目が雰囲気を変える役割を果たし、この8曲目と次に続く9曲目『棒人間』がピアノバラードコーナーといった感じで6,7は8,9のピアノバラードコーナーに雰囲気を変えるためにあるようにも感じました。

この曲の並びが素晴らしい、そしてピアノバラードという新機軸の一面が見える本曲です。

 

週刊少年ジャンプ

週刊少年ジャンプ的な未来を 夢みていたよ
君のピンチも 僕のチャンスと 待ち構えていたよ

毎晩少年ジャンプ的な夢で 忙しくてさ
汗まみれで朝起きるたび 命カラガラで

ママに「おはよう」

机は窓際 君のとなり
遅刻と罰掃除と居眠り
だってヒーローはそうじゃなくちゃって

キザでキラキラした台詞も
使う予定なんかはないけど
ちゃんと毎晩お風呂でこっそり唱えるよ

未来のヒロインにいつか渡すために
誰一人内緒で 育てるんだよ

週刊少年ジャンプ的な未来を 夢みていたよ
君のピンチも 僕のチャンスと 待ち構えていたよ

きっとどんでん返し的な未来が僕を待っている
血まみれからの方がさ 勝つ時にはかっこいいだろう
だから今はボロボロの心にくるまって 夢をみる

縮んだ心に なんとか釣り合うように
丸めてた猫背ももうやめてよ
下を向いても あの頃の僕はいないよ
「ほら僕は ねぇ僕はここだよ」

どこの何者でもない君も あの時の少年は最前列で君のことを
君だけを見ているよ 君だけのヒーロー 君だけを見ているよ

 

RADWIMPS 新作「人間開花」全曲解説(歌詞有) 7曲目 『アメノヒニキク』

アレンジが光る「バラード」→「テクノ」!?な1曲

 

7曲目は最初しっとりしたバラード、と思いきやどんどん音が増えていき最後は完全にダンスナンバーになっているというアレンジが光る『アメノヒニキク』です。

カタカタで表記されているのでいろいろ想像するのも楽しいですね。

『雨の日に聞く』『雨の日に効く』『雨の日に利く』なのか!?

『雨の火に効く』だったりして・・・。

余談ですがある評論家の方が面白いことを言っていました。

『「最初このアルバムのタイトルを耳で聞いたとき、ニンゲンカイカだったので

RADWIMPSだけにまともに“人間開花”ではないだろうと勝手に裏を想像して

“人間か以下”なのかと思ったと」言っていました。そしたら野田さんが「人間か烏賊(イカ)もあるね(笑)」と言っていました。』

いろいろな意味にとれる言葉のトリックを上手に使ってきたRADWIMPSらしいエピソードです。今回は聞く我々のほうが勝手に裏を想像していたらド・ストレートの直球だった(音も言葉も)ということがかえって新鮮さを感じることが多いという今回のアルバムの特徴ではないかと思います。

ちなみにこの曲は最初さらっと聞くと後半盛り上がるところでテンポアップしているように聞こえます。

実はテンポが上がっているのではなくアレンジの変化でそう聞こえるというトリックが隠されています。

言葉数最少、メロディ最少で作られた曲でこれだけ変化を感じる、1曲なのに3曲分ぐらいのバリエーションを感じるという・・・アレンジの素晴らしさが光る1曲です。

最初バラード→テクノ→ユーロビート(無理やりですが・・・)という3部構成の曲です。

 

『アメノヒニキク』

今日は灰色
今日は灰色
僕は水色の中に
今日は灰色
約200グラム 重い 今日の僕らは
約200グラム 重い 昨日よりも
約2、3センチ ずるい 今日の僕ら
約2、3センチ ひりり 君の言葉
雨は色をつれてどこにいく
そちらはさぞ楽しかろう
僕もついて行けたらいいけど
今日は 今日はやめとこう

今日は灰色
今日は灰色
今日は みなしご 街も僕も
今日は 愛の子
今日 名前は”陽炎” 名字は”今日”
ひとりうずくまる
約2、3ヘルツ 低い 音のすべて
約2、3テンポ 遅い 今日のイエスは
約5% 鈍い 今日の景色
約5% ぬるい 君の今日のキスは
どんな音が流れてるのだろう
そちらはさぞ楽しかろう
なくなることない味のガムに
終わりはしない遊園地

次の哀しみは何時何分?
それまでにそれまでに
次の幸せは何時何分?
それまではそれまでは
それまではそれまではそれまでは
次の裏切りは何時何分?
それまでにそれまでに
次の箱舟は何時何分?
それまではそれまでは
それまではそれまでは
それまではそれまでは
それまではそれまではそれまでは

ザンザカザンと
さぁさほら降れ降れ
なんだからしくないな泪目だね
ザンザカザンと
さぁさほら降れ降れ
なんでもないって割に乙女だね
ザンザカザンと
さぁ なんだからしくない
ザンザカザンと
さぁ ザンザカザンと さぁ
音と色と道連れに
「いつか」「今」の徒然に
音と色と道連れに
「いつか」「今」の徒然に

 

RADWIMPS 新作「人間開花」全曲解説(歌詞有) 6曲目 『‘I’ Novel』

 

洗練されたヒップホップ

6曲目『‘I’ Novel』です。

一言で言うと詩も音も洗練されたヒップホップという感じでしょうか?

RADWIMPSのヒップホップ系の曲はアクが強く個性があり一般的なヒップホップを

イメージすると違っていて、ロック系のバンドが遊びでやった感じだったりロックのつもりで始めたらヒップホップになったといえばいいのか、あくまでロックバンドとしてのファンクだったりヒップホップだったりしたと思うのですがこの曲に関して言えば、ロック系の人達がやったでなく本物のリアルヒップホップだと感じました。

この曲だけ先入観なく聞くとドラゴンアッシュです。

本アルバムの中でこの位置にこの曲があることも納得です。

1~5曲はもうぶっちぎりで今のRADWIMPSの最高・最強の状態のまま一気に勢いで駆け抜ける感じできて、ここから少しトーンを落として7曲目からがピアノバラード2作品に続くという流れになるのですが・・・。

ここまで書いて思い出したことがあります。

昨年は洋楽ではMUSE、邦楽ではミスチルの作品が話題になりました。

具体的に正確なコメントは忘れたのですが、MUSEのマシューもミスチルの桜井さんもアルバムという作品に関して似たようなコメントをされているのが印象的でした。

 

今はダウンロードして曲を入れるとアーチストが苦心して考える順番なんか無視して好きなように曲を入れ替えて楽しむことが当たり前になった時代。そんな時代だからこそまたアルバムを一つの作品としてどんな配置で曲を並べるかが昔のように大事になってきている。

 

というような主旨のコメントだったと思います。特にミスチルメモリースティックとCDと2種類の形態で発売され曲数も違うのですが、曲の順番も2種類でまったく違う順序でした。

 

   (昨年のミスチルブログ) 

2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧 - ロックなブログ

 

   (昨年のMUSEブログ)

    

2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧 - ロックなブログ

 

 

横道それましたが・・・この6曲目を前後意識して聞くと1曲1曲だけでなくアルバムとしても楽しめることがわかるそんな1曲です。

野田さんもきっとアルバムを一つの作品としてどんな順序で配置するかをすごく考えて仕上げたのではないか、そう思います。

 

この曲の歌詞ですが、自分を小説に例えて“I”Novelというタイトルで、出だしで「小説にしたらせいぜいまだ3行目」と出てきます。

アルバムももしかしたら一つの小説を書きあげるイメージなのかもしれませんね。

 

‘I’ Novel

ずいぶん長らく歩いてきたよな
そんな気がしてただけなんだ
小説にしたらせいぜい
まだ3行目あたりのこの人生
カバーもまだ題名もまだ
決まらずに書き始めちゃったから
どこでどうしてどうなってって
順序良く収まりつかないや

今日はただただもう
さぁダラダラしようとい思うよな
思いにふけてても
早くも僕の胸はもぞもぞと動き出すだって
心臓は脈打ち何CCかの血を
全身へと送り出しを繰り返し
今日も休まず僕は僕を生かし

辻褄合わぬストーリーに
ほろ苦い顔で見るストーリー
誇れる程のものはまだないが
僕だけに光るものはあんだ
塗りつぶしたい破り捨てたい
過去があろうとも汚れのない物語
など僕は惹かれないあぁ一瞬先の自分
さえも待てないよ今すぐでも会いたいよ
うかうかしてらんないの



はみ出した君の痛みが壊れないようにと
涙したひょっとしたらもしかしたら
それはいつかのあの僕だった
輝いた朝の光が
水たまりを蹴って飛び散った
あのどれかが今の君ならいいな 
いいな

どっかの誰かが勝手に
君のことをああとかこうとか
言ったりいつの間にか君のブックの表紙に
名前勝手につけて頭来たよ頭悪いけど
あんたには出る筋合いはねぇから
とっといなくなっとくれ
これ電車賃受け取っとくれ

どにもこうにもいかない時でも
どうにかこうにかここまで来たんだよ
今自信を持って言えるのは
僕を乗りこなせんのは
こいつの勝手がそうわかんのは
他にないんだこのおいらには
このポンコツくらいがちょうどいいんだ
でもあわよくば 
いつの日かこの僕のこと この僕よりも
より分かって笑ってくれる人と
出会えるといいななんて

その時まで待てないよ
今すぐ抱きしめたいよ
この手で温めたいよ


飛び出した白い光が
奇跡と合わさって芽を出した
それが僕ならいいさそれなら
いっそう奇跡使い果たすんだ
溢れ出した君の涙が
無駄にならぬようにと駆け出した
それを見た僕が胸に抱く
気持ちなんて美しいんだ

1秒先で輝いて
見えるものだけ追いかけて
間違いなんてないんだから
そんな言葉を間に受けて
0で生まれた僕なのに
今名前を呼ぶ人がいて
当たり前などないのに
産み落としてくれてありがとう 
ありがとう 
ありがとう


たとえ1ページで終わる命も
1000ページに及ぶ命も
比べられるようなもんではない
同じ輝きを放つにちがいない
曖昧なんの気ない
言葉永遠紡ぐ暇などない
1ページを生きた少年も本には誰よりも光る1行

が 綴られているんだ
そう信じてやまないんだ
もうジタバタしてたいんだ
僕もどれだけ残せんだ
ねぇどれだけ生きれんだ
時間以外の単位で

はみ出した君の痛みが
壊れないようにと涙した
ひょっとしたらもしかしたら
君の優しさの陰だった
輝いた朝の光が
水たまりを蹴って飛び散った
あのどれかが今の君ならいいな
いいないいな

 

RADWIMPS 新作「人間開花」全曲解説 映画「君の名は」主題歌 5曲目 『前前前世』

 

紅白紅白出演紅白出演決定!!

5曲目は今年日本で最大のヒットと言っていいと思いますがご存じ映画『君の名は』の主題歌『前前前世』です。

こちら、もう説明不用かと思いますがサントラが出た時にも書かせていただきましたがイントロのリフがとにかく秀逸です。ギターの桑原さんのアイデアかと思いますが後にわかったのですが、なんと9フレットにカポだそうでこんなハイポジションにカポということに驚き、高音で高速リフはこんな独特なアイデアから生み出されたのだと納得しました。

この曲に関しては既にサントラの時に書かせていただきましたのでぜひこちらをどうぞ。

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rocks1969.hatenablog.com

 

またアルバムの中の1曲としては、2曲目の『光』の際に触れましたが当初は映画ではこの曲でなく『光』が野田さん的には推しだったということで『光』とこの『前前前世』聞き比べるというのもアルバムが出たことで新たな楽しみ方かもしれませんね。

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rocks1969.hatenablog.com

 

 

『前前前世』

やっと目を覚ましたかい…
それなのになぜ目を合わせはしないんだ…
遅いよと怒る君
これでもやれるだけ飛ばしてきたんだよ…
心が体を追い越してきたんだよ

君の髪や瞳だけで胸が痛いよ
同じ時を吸い込んで離したくないよ
遥か昔から知るその声に
生まれて初めてなにを言えばいい

君の前前前世から僕は君を探し始めたよ
そのぶきっちょな笑い方を
めがけてやってきたんだよ
君が全全全部なくなって
散り散りになったって
もう迷わないから探し始めるさ
むしろ0からまた宇宙を始めてみようか
どこから話すかな
君が眠っていた間のストーリー
何億何光年分の物語を語りに来たんだよ

けれど いざその姿この目に映すと
君も知らぬ君とじゃれて戯れたいよ
君の切れる痛みまで愛してみたいよ

銀河何個分かの果てに出会えた
その手を壊さずどう握ったらいい

君の前前前世から僕は君を探し始めたよ
その騒がしい声と涙をめがけやってきたんだよ
そんな革命前夜の僕らを誰が止めるというんだろう
もう迷わない君のハートに旗を立てるよ
君が僕から諦め方を奪い取ったの

前前前世から僕は君を探し始めたよ
そのぶきっちょな笑い方を
めがけやってきたんだよ
君が全全全部なくなって散り散りになったって
もう迷わないまた1から探し始めるさ
何光年でもこの歌を口ずさみながら

 

RADWIMPS 新作「人間開花」全曲解説 4曲目 『トアルハルノヒ』  NHK SONGS 演奏曲

『ロックバンドなんてもんを やっていてよかった』

 

では4曲目『トアルハルノヒ』です。事前の雑誌のレビューなどでは、この曲がとにかくいいと言われている評論家の方が多くおられます。

同感です!

曲は新機軸というより、RADWIMPSらしいメロディとアレンジの妙でグループ感を感じるロックに仕上がっています。

今のバンドメンバーの心境が一番表れている曲というところが、特にずっとRADWIMPSとつきあってきた評論家の方々に響いているということもアルバムの中で特に好きと言わせているのかもしれません。

野田さんがインタビューでこんなことを語っています。

『昔からRADWIMPSを好きでいてくれている当時中学生や高校生だった彼・彼女たちは、今社会人になっていたりする。RADWIMPSの影響でこんな仕事につきました、とかこんな人生送ってます。なんて手紙もらうと、本当やっていてよかったって思うんです。』

これが、曲の中に出てくる♪『ロックバンドなんてもんを やっていてよかった
間違ってなんかいない そんなふうに今はただ思えるよ』♪

のフレーズを生んだわけです。

野田さんは言葉のトリックをうまく使った歌詞や表と裏の意味を同時に含む表現方法など歌詞でも常に新しく、過激で、いろいろな詩を生んできました。(本作も凄い歌詞たくさんあります。)

だからこそ、一見普通すぎるぐらい普通な♪『ロックバンドなんてもんを~』♪のフレーズがかえって話題になったりすると思います。

10年目にしてロックバンド宣言。捻ったり難しいことをトライしたり当たり前を続けなかったりと一筋縄ではいかないバンドだったからこと響くドストレートなフレーズとロック。今のRADWIMPSしか出せない音とフレーズ、そんな曲満載のアルバムの中でも象徴的な1曲です。

 

『トアルハルノヒ』

「はじめまして」そう言うと
ひと際大きなその瞳が
揺れながらまっすぐに僕をみた

あれはまだ14のハル
それから今日までの日々
「あなたの声をずっと聴いていた」

もうなんて言えばいい? 迷子のクシャっとした顔
言わなくたっていい 溢れるほど伝わった ありがとう

今日はなんか楽しいな
遥か昔から「声」だけの
幼なじみで 積もる話なんかして

どこか自分の時間だけ
同じ場所でただただ円を
描いては止まってる気がしてた

それが今じゃ21のハル
昔の手紙の返事を
その胸に抱えてきてくれた

ロックバンドなんてもんを やっていてよかった
間違ってなんかいない
そんなふうに今はただ思えるよ

宛名もなしに書きなぐった夢を
恥じらいもなく晒してきた本音を
君は受け取った 捨てずにあたためた
隣にいる友よりも 僕らは知り合えた
名前さえ知らずに

僕ら君曰く 毎日、毎晩
雨も晴れも嵐も雪も
飽きもせず 話をしてきたらしい

時に忌み嫌い遠ざかり
音信不通の時を経て
でも最後には 戻ってきたんだと

周りの誰が聴かずとも
流行の歌流れようとも
自分にはこの歌があったよと

ロックバンドなんてもんを やってきてよかった
まともに話さえ できなかったこの僕が
そんなにも君と 想いを交わしあっていた
ロックバンドなんてもんを
やってきて本当によかった

開き直りの心の有様を 長ったらしい無様な告白を
書きなぐり続けた 世界にバラ蒔いた
たやすく風に舞い すぐに掻き消された
でも君は受け取った 捨てずにいてくれた
風よりも小さな 僕の声を拾い上げてくれた

遥かな彼方へと 歌歌よ飛んでいけ

宛名もなしに書きなぐった夢を
恥じらいもなく晒してきた本音を
当たり散らした無様な醜態を
こぼれ落ちたまま走らせた希望を

書きなぐり続けて 10余年の日々が
そしてその少女は 目の前に現れた
その手、瞳、胸に 手紙の返事を 宿して現れたんだ

 

RADWIMPS 新作「人間開花」全曲解説(歌詞有) 3曲目 『AADAAKOODAA』 <歌詞考察つき>

NHK SONGS 演奏曲 ”本格的なヒップホップ” 

 

 

NHKのSONGSでも披露されました3曲目は『AADAAKOODAA』です。

1日1曲と言っておきながら、あまりの素晴らしさに勢いづき1日2曲更新してしまいました。

アルバムに先駆け発売された『前前前世』といい、やさしいはじまりの1曲目、ストレートで明るい2曲目とここまで聞くと独特の世界観で毒づく野田ワールドは今回はないのかもと思いつつ・・・。3曲目で痛烈に現代の典型的な日本人を思いっきり批判する曲の登場です。

曲調は完全ヒップホップです。もともとロックバンドでありながら遊びの範囲でいろいろなジャンルをこなすラッドですが今回のヒップホップは〇〇風ではなく本物のヒップホップです。そしてギャングラッパーばりに毒づきます。

あくまで私的解釈ですが、現代の典型的な日本人と言ったのは、『ディスる』という言葉に代表されるように、いちいち人の発言にあげあしをとるような<自分は何も出来なかったり>、<面と向かっては何も言えないのに匿名だと勢いづく>ようないわゆる『ディスる』人のことを指しているのかなと思います。

これがいきなり出だしで出てくる『あー言えばこー言うやつぁもう知ったこっちゃないからいいや』です。

そしてもう一つが自分で深く考えないで、すぐにググって答えだけ見つけてわかった気になったり言葉の裏や行間を読むということがない人のことを指していると思います。

これが2行目の『AHHと言ったらHOHHと乗っかる あんたがたのほうが何倍もいいや

』です。

思いっきり意訳してしまいますが、『ディスる人よりググる人の方が何倍もいい』と私解釈してみました。

なので、何倍もいいといっていることも皮肉な訳でどちらも典型的な現代人の痛烈な批判ではないでしょうか?

散々現代のこの典型的な2種類のタイプをラップで毒づき、英語の部分『No thank you well thank you I don’t think I do love you But I beg you can I hate you and well I’ll make you I’ll fake you』が本音ではないかと感じます。

『いいえ、ありがとう、ありがとう、ありがとう。あなたを愛しているとは感じない。けれどもあなたを憎むことは出来ます。あなたを偽るでしょう』

とこれが本音。

痛烈な現代批判です。

そして最後は『君がいないとさつまんないだものって言わせないとさ BE YOUR BIGGEST FAN 』と『(解釈)もっと魅力を磨け あなと最大のファンになるよ』

とはっぱをかけているような感じでしめられています。

 

また音に関してですが、本場のヒップホップでありながら日本的な響きがします。

なんだろうと、考えてみて思ったのは昔昔、農民などが豊作を祈って歌いながら踊ったりした日本民族の地域ごとの歌や祭りの歌などに近い音色やラインを感じるのは私だけではないと思います。

日本民族の歌をヒップホップで仕上げたと言えばよいでしょうか?

遊びを取り入れたと言ってしまうには、本格的なヒップホップであり日本的な音を融合した冒険作でもあり、そして歌詞の痛烈な毒づく野田ワールドと正に今回だけではなくこれからのRADWIMPSの新たな一面になりうる曲だと思います。

発売からロックバンドでありながらヒップホップなのにLIVEの定番になった『DADA』の新機軸と言える名曲です。

 

 

『AADAAKOODAA』

あー言えばこー言うやつぁもう知ったこっちゃないからいいや

AHHと言ったらHOHHと乗っかる あんたがたのほうが何倍もいいや

 

どうしよう こうしよう もう

 

頭ん中カラっぽんなったなら さぁなにで一杯に埋めてしまおうか

頭きたことなんかなかったってくらい 能天気なお天気でいたかった

 

No thank you well thank you I don’t think I do love you

But I beg you can I hate you and well I’ll make you I’ll fake you

ただただ 生まれたままか テレサ・ザ・マザー 目指すしかないかだって

 

じゃ何かな? 君はハナからすべてわかって生きてたってのかな

もーんなわきゃ そーんなわきゃわきゃ あるわきゃないのに

今日もワーキャーワーキャって

 

あー言えばこー言うやつぁもう知ったこっちゃないからいいや

AHHと言ったらHOHHと乗っかる あんたがたのほうが何倍もいいや

 

どうしよう こうしよう もう

 

あー藪から棒に歯向かうと危ないよ

その君の奥底の根っこにある本能

バランスは五分五分が必ずしもいいとは限らず

かといって偏りは禁物 この世に安住の地はなく

 

殺人鬼も涙流したりして

大聖者もマスかいてハイになっていて

総理もきっと鼻ほじったりして

じゃあところで君は今何してるの?

 

君がいないとさつまんないだもの

って言わせないとさ BE YOUR BIGGEST FAN

 

あー言えばこー言うやつぁもう知ったこっちゃないからいいや

AHHと言ったらHOHHと乗っかる あんたがたのほうが何倍もいいや

 

RADWIMPS 新作「人間開花」全曲解説<歌詞有> 2曲目 『光』

 

本当は映画『君の名は』のテーマ曲は『光』だった!? 

昨日(11月24日)よりはじめましたRADWIMPS 新作「人間開花」全曲解説は2日目(2曲目)の今日は『光』です。

野田さんがインタビューで話しておられましたが、『前前前世』が映画『君の名は』で流れるシーンは本当は野田さん的には、この『光』がベストと思っていたそうです。

なかなか新海監督のオッケーが出ず、それならと『前前前世』を作り、それでも野田さんは『光』がベストと思っていたそうで、監督に最後はどちらか(『前前前世』か『光』か)決めてほしいと言って委ねたそうです。場面に合う曲を野田さんが作り、その曲が場面に合うかを新海監督が最終的に判断する・・・・映画は正に音と映像を一つ一つコラボして決めていたことがよくわかる裏話です。

と、言う訳で今年日本中に旋風を巻き起こした、映画『君の名は』ですが、もしかしたら『前前前世』でなく『光』が映画のテーマ曲になっていたかもと思って聞くとおもしろいと思います。

さて、本作ですが、どんな曲調もつねに捻ったり、裏をかいたりということが普通というのがRADWIMPSだというイメージがあるのですが、この曲はもうど真ん中、ストレートのロックンロールです。

例えるならブルーハーツ風といっていいくらい、8ビートのストレートなロックンロールです。

雑誌でもすでにたくさん触れられていますが、今までのRADWIMPSが閉じられた、内側にぐ~っと向き合うような表現だとするならば、今回は思いっきり外に開かれている作品ということでこの2曲目の『光』はまさしく本アルバムを象徴する1曲と言えます。

また1曲目の『Lights go out』から続くような曲でもあり、この2曲(1曲目と2曲目)は映画『君の名は』の物語ともリンクしているような内容になっています。

また、アルバムタイトルは『人間開花』ですが、『光』も本作を読み解くキーワードの一つと感じます。

これからライブの定番になりそうな、新生RADWIMPSの新しい展開を予測させる1曲です。

 

 

 

『光』

 

僕の日々に意味はないと 晴れた顔で笑う声や

僕は今も 君の中にいたりするかな なんてばかな

 

ことばかり 物語

 

正しい街に 正しい歌に やけに一人取り残されて

転げながら 抱き合いながら 壊したいな 君のことを

 

したらなんて言うかな

笑いながら言うかな「それ痛いの?」

 

私たちは光った 意味なんてなくたって

私たちは光った ゴミたちの木漏れ日で

私たちは引っ張った 繋がれた首飾りを

力まかせに今 夢まかせにただ

 

奇跡だけが起きる街で 僕ら出逢い恋をしたんだ

だから此処は 少しだけど 寂しすぎる 気がしてるんだ

 

君の方はどうかな

 

今すぐ逃げろ さもないと消える

信号はイエロー 瞬くは一等星

 

いっせーのーせーで

 

私たちは光った 意味なんてなくたって

私たちは引っ掻いた 泣き方もわからずに

私たちは光った 許されない 愛だけが

輝いている空 瞬いてる ほら ほら